特殊用途に応えたカーナビを構築する「業務用カーナビSDK」
2022.11.17
提供・活用例
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スポーツを科学的に分析するクロスセンシング
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事業活動の効率化と新たな価値を創出するソリューション
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業界横断で地理空間情報ビジネスを支える「MD communet®」
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社会的使命を持って災害情報をボランティアで発信
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アーカイブ画像が切り拓く高精細航空写真データの可能性
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地番をはじめ、多重なレイヤー情報構造を持った「GEOSPACE」
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地理空間情報を総合して新しい価値を創出
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建築許可なく自在に”部屋”を用意できる「トレーラーハウス」
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釣り人垂涎の海底地形を提供する「釣りドコ」
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LiDARによる人流・交通観測が土地の有効活用をもたらす
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特殊用途に応えたカーナビを構築する「業務用カーナビSDK」
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地理空間情報のオープンデータによって社会に貢献する
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みえない交差点
SDKによって業務用にカスタマイズされたカーナビ
もはや当たり前に車両に搭載されているカーナビゲーションシステム。目的地を入力するだけで現地まで最短ルートを案内してくれるので、事前に地図を確認してルートを覚えておく必要もなく、“すべてはカーナビ任せ”というドライバーも多いことだろう。しかし一般的なカーナビはあくまで一般的な用途にのっとった仕様になっているが、特に業務車両で使用する際は必ずしも一般的なカーナビの情報が最適だとは限らない。
マップルが提供する「業務用カーナビSDK」は、業務システムにカーナビゲーション機能を付加できるソフトウェア開発キットだ。WindowsもしくはAndroidベースで動作する業務アプリにカーナビ機能を追加して、利用者の望むようにカスタマイズできる。たとえば、路線バスに搭載するカーナビでは、ルートのほかにバス停を何時に到着/出発するかが重要になり、画面にその情報を表示する必要もある。ゴミの収集車に搭載するなら多数のゴミ捨て場すべてを効率的に回るルートを提案することが最適解だ。こういった機能は一般的なカーナビに搭載されているはずもない。
「業務用カーナビSDKは、”SDK”ということで、ソフトウェア開発キットです。カーナビを含めた各業務に最適化されたアプリケーションを作るために、カーナビ部分を提供しているというかたちです。事業者様からの要望を受け、あるいは事業者様への販売提供を企図してソフトウェア開発会社さんが自社のソフトの中に取り込んで、働くクルマ用のアプリケーションを開発しているケースが多いと思います。もちろん、弊社が独自にそのアプリケーション部分を含めて提供することもあります」と、マップル 企画開発本部 企画開発部 企画開発課の佐光裕之氏は説明する。
一般的なカーナビでは案内しないような、遠回りや多数の立ち寄りポイントを取り込んだ業務に最適なルートを探索して、実際の音声案内やイラスト案内などをきちんと取り込み正規のルートとして提案できることが同社の業務用カーナビSDKの特長だ。
また佐光氏は「私どもの出自は『スーパーマップル』をはじめとした紙の地図にありまして、地図はパッと見た時の見やすさが重要なのですが、視認性の良いデザインというものには長年培ったノウハウがあります」と同社の強みを語る。
ユーザーの声に応えて成長し続ける
業務用カーナビSDKはファーストリリースからすでに7年目に入り、顧客の声に応えながら改良を加えてAPIも都度増強されている。マニュアルも600ページに迫るほどの規模になり、お客様のやりたいことを実現できるカーナビに成長しているという。
同社の企画開発本部長 兼 企画開発 部長の吉橋誠氏は、「私どもの目標は『ありとあらゆる働くクルマ』で使っていただけるカーナビを提供することです。実際にサービスをリリースしてから、ユーザー様からの声に応えてAPIを拡張していった経緯があります。たとえば、工事車両ではスクールゾーンなどで工事用車両が通過してはいけない道路や徐行エリアが決められていることがあります。業務用カーナビによってそういった場所の迂回誘導や徐行アラートなどを行うなどの機能を実現したナビゲーションを提供できるようになっており、しかも実際に通行していないというエビデンスも残せます」という。
確かに、工事車両を扱う業界をはじめ、各業界によってカーナビに求めるニーズは異なり、業界の外にいる人間がその事情にあらかじめ気づいて能動的に提案することは難しいだろう。むしろ「こういったことはできないのか」という声に応えて柔軟に成長できることが、業務用カーナビSDKのメリットと言える。
さらに吉橋氏は「ルート配送の車両やゴミの収集車などはOJTで先輩が隣に乗って新人にルートを教えていくのですが、すぐに辞めてしまう方も多く、教えたことが無駄になってしまうケースが多かった」といい、今までアナログで伝わってきたものをデジタルに置き換えられるという可能性も示してくれた。
海外出自ではなく、日本発のアイデアを!
内閣官房は地理空間情報を活用したビジネスアイデアコンテスト「イチBizアワード」を今年から開催しており(応募はすでに終了)、2022年12月6日~7日に開催される「G空間EXPO2022」にて発表・表彰する予定だ。
協力協賛企業として参加するマップルの吉橋氏は、「弊社はイチBizアワードと切っても切れない関係にあります。昔、紙の地図を持っていた頃に比べて、スマートフォンが普及してからは地図が身近になったとは思うのですが、多くは海外の技術に依存しているのが残念なところです。ただ、日本国内ならではの使い方もあるだろうなと思っており、弊社もいろいろ模索している最中なのですが、イチBizアワードから国内初のビジネスだとか、そこまでいかなくても将来位置情報や地図に関わる人材の強化につながっていけばいいのかなと考えております」と期待を寄せる。
果たして、マップルが業務用カーナビSDKに実装したくなるようなアイデアは誕生するのだろうか。
提供:マップル